アメリカのクレジットスコアの基準と上げ方

クレジット大国であるアメリカではクレジットスコアというシステムがあります。スコアが高いと信用があると判断され、ローンの金利が低くなったりします。基本的には日々クレジットカードを使って地道にスコアを上げていくんですが、今回はその基準と上げ方のポイントについて説明。

クレジットスコアの種類

クレジットスコアには大きくいって2種類、FICOVantageScoreがあります。スコアは両方とも300〜850点の範囲内。600~700点台が一般的です。さらにFICOスコアにも色々あって、2017年現在最もよく使われているのがFICO 8、新しいシステムはFICO 9といいます。VantageScoreでは最新版の3.0がよく使われています。住宅ローンで重要になってくるのはほとんどの場合FICOスコアです。

スコアの基準

スコアの基準はFICOとVantageScoreで違っています。

FICOの基準

Vantagescoreの基準

 

この2つをまとめて以下に大事な順で並べてみました。

★★★★★ Payment History: 支払い履歴
遅延することなく支払いしているか。

★★★★☆ % of Credit Limit Used: クレジット利用率
Credit Card Utilizationと言い、クレジットカードの限度額(保有カードすべての合計)に対してどれだけ利用しているかの割合。少ないほど良くて30%以下に抑えるとよし。

★★★☆☆ Age and Type of Credit: クレジットの種類と保有年数
クレジットの種類(クレジットカード、各種ローン:住宅、車、Student Loanなど)が多いほどよく、それらの保有年数が長ければ長いほど良い。クレジットの種類が多いほどスコアが良くなるとはちょっと意外ですが、多いほど色んな金融機関から信用されているということで評価されます。かといって借入額が増えすぎると良くないのでその辺りは注意が必要です。

★★☆☆☆ Total Debt: 借入額(VantageScoreのみ)
借入額の絶対量が少ない方が良い。

★☆☆☆☆ Credit Inquiries: クレジットレポートの問い合わせ回数
これは下の方で説明してますがHard Inquiryと呼ばれるもので、新しいクレジットカードを作ったときや住宅ローンに申請したときなどに発生します。影響は低めですがこの問い合わせ回数が多いと金銭的に問題があると思われてスコアが下がります。

スコアを上げるコツ

スコアに良い影響、悪い影響を与えることは上の基準が元になってこんな感じになっています。

好影響なこと

  • クレジットカードを作ったら長期保有する
  • 期日を守って支払いする
  • クレジット利用率を30%以下にする
  • クレジットの限度額を引き上げる(Hard Inquiryが発生するので注意)

悪影響なこと

  • たくさんのクレジットカードを新たに作る(平均保有年数が下がり、Hard Inquiryが発生)
  • クレジットカードを解約する(トータルの借入限度額が下がる)
  • Derogatory Marks(破産、差し押さえ、税金滞納、裁判など)がある

スコアのリカバリータイム

VantageScoreがいい感じのインフォグラフィックスを載せていたので引用。こちらは色んな要因がクレジットスコアにどれほど悪影響があるか、それが回復するまでどれくらいかかるかを表しています。

your.vantagescore.com/score-influences

例えば、クレジットカードを新たに作る、クレジットカードのアカウントを閉鎖する、与信枠限界まで使うといったことは影響が少なく最大でも数ヶ月でスコアが回復しますが、支払いを滞納させてしまうと最大1年以上長引いてしまいます。

Credit Reporting Bureaus

アメリカには信用報告会社(Credit Reporting Bureaus)というのがあり、この会社がクレジットレポートを作成しています。その中でもメジャーなのがEquifaxExperianTransUnionで、3大Credit Bureausと呼ばれています。これら3つの会社は独立運営されていてそれぞれ手持ちのデータが異なります。例えばTransUnionはかなりの雇用データ(雇用主の名前、雇用開始日、仕事の肩書き)を扱うのに対し、ExperianとEquifaxは雇用主の名前のみです。なのでどの会社(Experian、TransUnion、Equifax)がどのスコア(FICOやVantageScore)をレポートしているかによってスコアは変わってきます。

Hard vs Soft Inquiry

クレジットレポートの問い合わせにはHardとSoftの2種類があります。Hard Inquiryは金融機関がローンの審査するときなど、Soft Inquiryは自分のスコアをチェックするときなど。Hard Inquiryをされるとスコアが下がりますがSoft Inquiryではスコアに影響はありません。

Hard Inquiryの例

  • 各種ローン(住宅、車、Student Loan、ビジネス)の申請
  • 新規クレジットカードの作成

Soft Inquiryの例

  • 自分のクレジットスコアをチェック
  • 雇用主やアパートオーナーがするバックグラウンドチェック

クレジットスコアを無料でチェックするには?

無料クレジットモニタリングサイトがいくつかあり、銀行やクレジットカード会社もスコアを出してくれます。以下自分が使ったことのあるサイトをまとめてみました。

サイト頻度スコア情報源
credit karma毎日VantageScore 3.0Equifax, TransUnion
credit.com2週間に1度VantageScore 3.0Experian
Chase Credit Journey毎週VantageScore 3.0TransUnion
Capital One Credit Wise毎週VantageScore 3.0TransUnion
American Express MyCredit Guide毎週VantageScore 3.0TransUnion
Bank of America毎月FICO 8TransUnion
Citi毎月FICO 8Equifax
Wells Fargo毎月FICO 9Experian

オススメはcredit karmacredit.com。この2つで3つの信用会社からスコアをゲットできます。あともう1つくらいFICOスコアをゲットできるサイト(Bank of Americaなど)があればいいでしょう。銀行やクレジットカード会社は大丈夫ですが、あまり名の知れないサイトは使わない方が無難です。

最後に、アメリカ政府公認のAnnualCreditReport.comというサイトで一年に一度、誰でも自分のクレジットレポートを無料で手にいれることができます。あまり知られていませんが。Equifax、Experian、TransUnionの3つの会社すべてからもらえるので是非使ってみてください。

*この記事の情報源はFICO、VantageScore、Bank of America、Chaseなど大手銀行の公式サイトです。

アメリカで一番税金が安い州は?アメリカ税制の基本と税金別マップ

アメリカには大きくわけて3種類の税金があります。州によってこの3種類の税率が大きく異なっており、税制上有利な州、不利な州があります。

  • 所得税(Income Tax)
  • 固定資産税(Property Tax)
  • 消費税(Sales Tax)

アメリカでは税金は連邦(Federal)と州(State)に支払います。連邦に支払う税金は所得税のみですが、州に支払う税金は所得税、固定資産税(家を持っていれば)、消費税のすべて。違う州に転職すると、その年の確定申告では連邦と2つの州に税金を納めないといけないので非常に面倒です。また、日本と違ってアメリカには住民税がありません。

以下、それぞれの税金を詳しくみていきましょう。

所得税(Income Tax)

まずは所得税の州別マップ。州によって面白いほど違います。カリフォリニアは圧倒的に高くて13.3%。その一方テキサス、フロリダ、ネバダ(ラスベガスがある州)などは所得税なし。

ただしこの地図の所得税率はそれぞれの州で最大のものを載せています。税率は所得によって異なり、カリフォルニアの13.3%は収入が約$2,000,000以上の場合。年収$100,000程度なら名目税率は8%になります。

所得税率の州別マップだけ見ると日本より税金が安いように思えますが、所得税は連邦にも払う必要があり、連邦の方が州より圧倒的に高いです。アメリカでは日本と同じく累進課税制度、さらに言うと超過累進税率を使っています。

超過累進税率:
課税の対象が一定金額を超えた場合に、超えた部分については高い名目税率を課し、超えない部分については元の(低い)名目税率を課す仕組み。例えば日本で200万円の課税所得があれば名目税率は10%ですが、実質税率は約5%になり、約10万円の税金を支払うことになります。

アメリカの課税所得(Taxable Income)と名目税率(2023年)から実質税率(Effective Tax Rate)を計算した結果がこちら。

連邦の実質税率・名目税率と課税所得の関係

収入が$100,000なら実質税率が約12.5%なので約$12,500の税金を連邦に支払うことになります。連邦の実質税率を日本と比べると大体同じですが、日本は住民税(10%)があり、アメリカは州に支払う所得税があるので、州によってはアメリカの方が若干税負担が低いようです。

固定資産税(Property Tax)

不動産を持っているとかかってくるのが固定資産税。一番高いのはニュージャージー州(ニューヨークシティのベッドタウン)の2.23%で、一番安いのがハワイ(0.32%)。カリフォルニアは意外と低めな0.75%ですが、そもそもの住宅価格が高いので支払う固定資産税も高くなります。

消費税(Sales Tax)

一番多くの人が気にするのが消費税。消費税なしの州はあまりなく、モンタナ、オレゴン、ニューハンプシャー、デラウェアのみ。(アラスカ州も基本的に消費税なしですが一部の都市であり)所得税なしのワシントン州で働き、オレゴン州で買い物すれば(州に支払う)消費税もなしにできます。

まとめ

最後にいくつかの州の税率をまとめてみました。アメリカ3大都市(ニューヨークシティ、ロサンゼルス、シカゴ)があるニューヨーク州、カリフォルニア州、イリノイ州は全体的に税金が高め。

アメリカで総じて一番税金が安い州はアラスカ州。税金が安い代わりに州の予算は石油採掘で賄われています。実際アラスカ州の州債のレーティングは非常に高く、かなり金銭的に潤っている州です。さらに、アラスカ在住者にはAlaska Permanent Fundから毎年配当金が支払われます!毎年金額が変動しており、一年で約$1,000から$2,000がもらえます。最近話題のベーシックインカムですが、アラスカでは1982年から実施(配当金は少額ですが)されています。

ちなみにトヨタをはじめ最近カリフォルニアからテキサスに移転する企業が増えていますが、これはテキサス州では従業員の生活コストが減ることと法人税率が安いことが理由です。法人税率のマップはTax Foundationのページでご覧ください。

参考:Tax Foundation

物件価格の推移と築年数から不動産の将来価値を予測する

自分が購入した物件が、10年後どれくらいの価値があるのか?

不動産を買うときには、投資をやらない人でも売るときのために是非考えておきたい疑問です。日本でもアメリカでも、将来の物件価格を予想するには「物件価格と築年数の関係」「物件価格の推移」を知っておく必要があります。

物件価格と築年数の関係

日本

日本では、物件が古くなるほど価格が下落します。しかも相関はかなり強め。

上は三井住友トラスト不動産のデータをもとに作成した、中古マンションの坪単価と築年数の関係(5年ごとに平均)です。東京、大阪、名古屋ともに築年数が増えるほど価格がさがっています。

築年数1年目の坪単価を100とすると値下がり率がよく分かります。

築20年まではどの都市でも値下がりしていき、築1年と比べると50%前後値下がりします。しかしその後は東京の場合ほとんど値下がりせず、築40年でも50%をキープしています。一方、大阪・名古屋ではその後ゆるやかに値下がりし、築40年で築1年の約30%の値段となります。というわけで日本で中古の不動産投資をするなら東京が良さげ。

アメリカ

アメリカでは物件価格と築年数は関係がない、というのが定説です。古い建物でもリノベーションしていれば価格は上がりますし、築年数よりも物件のコンディションや場所が大事になってきます。また、築年によって物件のエリアがかわってくるので築年数だけの影響をみるのは難しいのが現状です。例えばマンハッタンには新しい建物はほとんど建ちませんから、ニューヨークシティの場合、新しい物件はだいたい郊外にあります。

この定説をサポートするデータが欲しいなと思い探してみましたが、唯一見つかったのがエージェントのJoe Manausaさんが公開しているTallahassee(フロリダ州)のデータのみ。何件のデータに基づいているかも分からないので信憑性もイマイチです。そこで、Redfinを使って自分でデータマイニングしてみました。アメリカ全50州の主要都市うち、Redfinがカバーしている都市の物件データすべてを集めました(けっこう大変だった)。その数およそ11万件。その結果がこちら。

横軸が築年で、縦軸が1ft2あたりの価格となっています。緑の線は築1900年から2015年までのデータを5年ごとに平均(中央値)したもの。この平均値をみると、アメリカでは築年数と物件価格は全く関係ないということがよく分かります。

1900年代前半で価格が上がっていますが、これはおそらく古い建物が残っているエリア=風情がある、地位が確立されているエリアだからだと思われます。

物件価格の推移

日本

日本の場合、物件価格の推移は(長期的なデータがある)公示地価の推移からみることができます。

公示地価の推移:ダイワハウス

全国的にみると、バブルが崩壊した1991年あたりからほぼ30年近く下落が続いています。近年はほぼ横ばいで、東京の場合はすこしずつ地価が上昇してきています。

アメリカ

アメリカの場合、Case-Shiller U.S. National Home Price Indexがアメリカ全体の住宅価格指数として使われています。

1983年から2017年までで、約4倍も価格が上昇しています。一方、日本は全国的にみると1983年から2016年で価値がほぼ変わらず。これはなぜでしょうか。不動産エコノミクスの第10章によると、住宅価格に影響を与えるマクロな要因は以下の4つ:

  • インフレ → インフレ率と同じだけ住宅価格が上昇
  • 人口が1%増加 → 住宅価格が1%増加
  • 1人あたり実質GDPが1%増加 → 住宅価格が1%増加
  • 高齢化が1%増加 → 住宅価格が0.6%減少

アメリカでは毎年インフレしているのでその影響が住宅価格にも反映されていると言えます。

物件の将来の価格を予想するには?

「物件価格と築年数の関係」と「物件価格の推移」を合わせることで将来の物件の価値を予想することができます。

日本の場合、近年の物件価格の推移はほぼ横ばいで、将来的に人口減少、高齢化、そして多少のインフレがあると予測すると、おそらくこの先しばらくも横ばいが続くと思われます。なので築年数だけみれば将来の価値が予測できます。

アメリカの場合、築年数は物件価格と関係ないことが分かりましたから、物件価格の推移だけみればオッケー。アメリカでは今後もゆるやかなインフレとゆるやかな人口増加(先進国では珍しいです)が期待されるので、物件価格はゆるやかに増加していくと思われます。

アメリカ不動産は冬に買って夏に売ると9.2%得する

アメリカ不動産には季節性があり、夏は物件の購入価格が上がり、冬は逆に下がる傾向にあります。同じことが賃貸でも起こり、夏は人の移動が多く、賃貸を探す人が増えるので家賃も自然と上がります。逆に冬に賃貸を探す人は少なく、需要が減るので家賃も下がります。その理由は2つ。

理由1:学校の期間

アメリカの学校は9月に始まり5月に終わります。多くの親が子供の学校の区切りがいいところで引っ越したいと考えているので、夏が引っ越しシーズンとなります。

理由2:ホリデーシーズン

年末年始はクリスマスなどイベントが多いのでこの時期(冬)に引っ越ししたい人はあまりいません。

次にデータをみてみます。下の青線がRedfinのデータから作成した過去5年間のアメリカ全体の平均的な物件価格。アメリカはけっこうインフレするので、インフレ率を考慮したデータ(赤線)も入れています。一年を通してみると、1月・2月に最も安くなり、6月・7月に最も高くなっています。インフレ調節されたデータの各年の最高値を前後の最低値の平均で割って、夏と冬の価格の差を計算すると、「夏の方が冬よりも平均して9.2%価格が高い」という結果が出ました。

季節による流動性

夏はセラーもバイヤーも多く、たくさん取引が行われるので流動性が高くなります。冬はその逆で流動性が低くなってしまいます。こちらが毎月どれくらいの物件取引が行われたか、流動性を示すグラフ。季節性が顕著に出ていて、年によっては夏と冬で物件売買の量に2倍近く差があります。

季節による物件の掲載期間

もう一つ季節性が顕著に現れるのが、物件がマーケットに出ている期間。物件を売る場合には非常に役立つ情報です。夏は掲載期間が30日から60日なのに対し、冬は60日から90日も掲載されています。どうしても冬に売らなければいけない場合、売れるまで2、3ヶ月はかかると思っておかないといけません。逆に買い手の場合、冬の売り手は切羽詰まっているので買い叩ける可能性が高いです。

夏は売り手市場、冬は買い手市場

売り手市場か買い手市場か見極めるには、どれくらいの数の物件が売値より高く(安く)売れたかを見れば分かります。こちらのグラフの縦軸は何%の物件が掲載価格より高く売れたかを示しています。縦軸の値が20%なら、80%の物件は掲載価格より安く売れたということになります。

このグラフをみると、冬は物件が売りたたかれ、買い手市場なのがよく分かります。ただし地域による違いもあり、例えばシアトルやサンノゼはかなり売り手市場(需要>供給)なので、掲載価格よりも高めにオファーを設定しないと購入できないときもあります。

参考:Redfin Data Center

アメリカ住宅ローンの金利とクレジットスコアの関係

アメリカでは住宅ローンの金利に影響を及ぼすのはローンの金額頭金の割合、そしてクレジットスコアです。クレジットスコアは高ければ高いほど金利が下がります。クレジットスコアと金利(APR)の関係をFICOのサイトからとってきてグラフにしてみた結果がこちら。(2017年6月現在)

金利は常に変動しているので縦軸はあまり参考になりませんが、クレジットスコアとの関係はほぼ変わらないはず。普通の人はだいたい700-759の範囲で、悪くても600点台後半はあると思うので金利は3.8±0.2%といったところです。具体的な金額で言うと、(300,000ドルの30年ローンを組む場合)月々40ドル程度の差なのでそれほど大差ありません。

住宅ローン会社のクレジットスコアの使い方

ローン会社はEquifax, Experian, TransUnionの3つの信用報告会社に問い合わせてスコアをゲットします。そして3つのスコアの中央値(平均ではない)を基準にして金利を決定します。もし夫婦なら二人の中央値の低い方が最終スコアになります。例えば夫婦のクレジットスコアが以下の場合、最終スコアは718です。

信用報告会社BorrowerCo-Borrower
Equifax696794
Experian785808
TransUnion718782

これはFredie MacとFannie Mae(政府がスポンサーする、ローン会社と投資家の仲介組織)の規則なのでどのローン会社でも同じです。ただし信用報告会社ごとにどのスコア(FICO 8、FICO 5、VantageScore 3.0など)を使うかはローン会社次第なので、問い合わせるローン会社によって金利が違うわけです。

さらに詳しく掘り下げると、以下が多くのローン会社で使われてるスコアになります。詳しくはFreddie Macのサイトに載ってますがかなりの知識が必要。

信用報告会社スコアの種類
EquifaxBeacon 5.0 (= FICO 5)
ExperianFair Isaac Risk Model V2SM (= FICO 2)
TransUnionFICO Risk Score, Classic 04 (= FICO 4)

クレジットスコアの詳しい話はこちらにまとめてるのでご一読あれ。

Rate-shoppingでクレジットスコアは下がる?

車や住宅ローンなどで、ローン会社を選ぶとき(Rate-shopping)には何度もHard Inquiryする必要があります。やりすぎるとクレジットスコアが下がるんじゃないか?とお思いの方、ご安心あれ。Rate-shoppingの場合、VantageScoreでは14日以内、FICOでは14〜45日以内(バージョンによりけり)のHard Inquiryはまとめて一回とカウントされます。

参考:
https://your.vantagescore.com/resource/46
http://www.myfico.com/credit-education/credit-checks/credit-report-inquiries/

 

契約完了まで – アメリカで家を買う

オファーが受け入れられ、物件の検査も特に問題なく、ローンも無事処理されたらもうすぐ契約完了(Closing)です。しかし、最後にやることがいくつかあります。

Closing Disclosureの最終チェック

契約完了日の数日前にローン会社がClosing Disclosureを送ってくれるので間違いがないかチェックします。この書類には月々の支払いがいくらか、ローンの詳細、Closing Costの内訳などが書かれていて非常に大切な書類です。自分の場合実際間違いがあって担当の人にすぐ連絡して直してもらいました。

お金の準備

ローンの頭金とClosing Cost用のお金を準備します。自分の場合支払いは2回に別れていて、1回目はClosingの約1ヶ月前で$10,000を銀行振込(ACH Transfer)、2回目はClosing当日で残りの$33,000をcashier’s checkで支払いました。

Cashier’s Checkとは?

Cashier’s check(キャシアーズチェック)とは銀行が保証してくれるチェックで、ほとんどの場合は不動産取引で使います。銀行に行って、銀行員にサインしてもらいます。手数料は$10程度。普通のチェックの場合は(もしも銀行口座に十分なお金がない場合など)処理されない可能性がありますが、cashier’s checkはそんなことがありません。cashier’s checkをもらうときに自分の口座から銀行にお金が移されて、自分の口座ではなく銀行の基金から受け取り手にお金が移るようになるからです。ちなみにMoney Orderというのもチェックの一種ですが、最大$1,000なので不動産取引では使われません。信用度が高い順に並べると、Cashier’s Check > Money Order > 普通のチェックとなります。

地域やローン会社によって違うと思いますが、自分の場合$50,000以上ならWire Transfer、それ未満ならCashier’s CheckでClosing当日支払いを準備するよう言われました。

弁護士にお金を払う

Closing Costとは別で弁護士にお金を払います。自分の場合は$650。

Closing当日にすること

準備したお金を支払い、50枚くらいある書類にひたすらサインしていきます。弁護士が説明してくれるので分からなかったら質問。一応自分が何にサインしているのかくらいは理解しておくといいでしょう。スーツを着ていく必要はありませんがラフな格好は避けた方がいいような雰囲気です。最後に鍵を受け取って1時間半ほどで契約完了。

以上、長かったですがこれでマイホーム購入完了です!

Home Inspection: 物件の検査 – アメリカで家を買う

オファーが通ったら数日以内にホームインスペクションを行います。(契約書にも何日以内にインスペクションを行うと記載されてるはずです)僕はエージェントにインスペクターを紹介してもらいましたが、エージェントとしては物件を買ってもらいたいわけですから癒着があると困ります。気になる方はエージェント以外のルートから探すといいでしょう。

インスペクターに電話して都合のいい日を予約。立ち会いは必須ではありませんが、できるだけ立ち会ってどういう風に検査するのか、見逃しているところはないか、また気になったところを聞いてみたりするのがオススメです。

検査は大まかに2種類あり、

  • 視覚的インスペクション
    窓、水漏れ、壁のひび、フロアの状態、一軒家の場合はさらに外観(壁、屋根、庭など)
  • 機能的インスペクション
    電気が通ってるか、電気機器が使えるか、水まわり・ガス・HVAC(heating, ventilating, air conditioningの略で、空調機器のこと)が機能してるか等

僕のお願いしたインスペクターは全然僕が気づかないところもチェックしてくれて(プロなので当然ですが、)感心しました。部屋の天井の隅に小さい汚れがあり、湿度をチェックして、「乾燥してるからかびの心配はないけど、もうちょっと詳しく調べた方がいいよ」と言われました。検査が終わるとインスペクションレポートがもらえますが、そこにも書いてあります。

検査にかかる時間は物件によりけりですが、僕が購入したのはStudio(日本でいうワンルームマンション)で、1時間ちょっとでした。一軒家なら3、4時間くらいかかります。値段は$300でした。大きな問題はなく終了。

ちなみに僕の友人はインスペクションはせずに購入していました。コンドミニアムの場合あまり大きな問題はないのでそれでもいいかもしれません。特に売り手市場なら、オファーを魅力的にするためにインスペクションしないということもけっこうあるようです。

 

オファーする:売買契約書 – アメリカで家を買う

物件を見つけて、エージェントと話して、物件見学をして、住宅ローンを融資してくれる会社を見つけたらいよいよエージェントにオファーレター(売買契約書:Purchase and Sale Contract)を書いてもらいます。売り手はオファーに対して受け入れる、断る、別条件を提示する(カウンターオファー)ことができます。

オファーレターの中身

契約書はこんな感じになっています。

契約書の中身は、大きく言って以下の3つ。

  • 希望購入価格
  • 色々な条項:Contingency Clause
  • ローンの詳細

Contingency Clauseとは、ローンが見積もりと違って高くついてしまった場合、物件を点検した際致命的な欠陥を発見してしまった場合など、オファーを取り下げるために必要な条項です。

ローンの詳細は、Contingency Clauseとも関係していて、契約書には”Mortgage Contingency”(州によって違います)と書かれています。ローン審査がいつまでに終わるか、頭金は何%か、金利は何%で何年ローンか、などを記載します。さらにローン会社からPre-Approval Letterがあると売り手への信頼が高まりオファーが受け入れられやすくなります。

希望価格以外はエージェントに任せておけば大丈夫です。確認は必要ですが。購入価格の目安は売り手の希望価格の±10%くらいでしょう。買い手市場なら買い叩けますが、今のカリフォルニアのような売り手市場なら価格に上乗せする必要があるかもしれません。エージェントがComps(似たような物件の取引情報)をくれるのでそれを参考に決めました。

僕の場合、売り手の希望価格は$185,000に対して、自分がオファーしようとした価格は$180,000です。頭金20%+Closing Costで初期投資は合計$43,000($36,000 + $7,000)。しかし、出来るだけ初期投資を減らしたかったのでローン会社の人が教えてくれたSeller Creditを使うことにしました。

 

Seller Creditとは?

Seller Creditを使うと、売り手にClosing Costをいくらか負担してもらうことが出来ます。自分の最終的なオファー金額はSeller Credit $7,000を含む$187,000でした。(売り手にはこれで受け入れられました)Closing CostをすべてSeller Creditでまかなったので、僕の初期投資は$187,000の20%、つまり$37,400で、Seller Creditを使わなかった場合と比べて$5,600初期費用が減りました。

何が起こっているかというと、買い手にとってはSeller CreditによってClosing Costをローンに組み込んでいるわけです。そのぶん月々の支払いは少しだけ上がります。売り手にとっては「$180,000のオファー」と「Seller Credit $7,000を含む$187,000のオファー」は同じことです。

もし僕のように初期費用に限りがある人は検討してみてはいかがでしょうか。

 

オファー提出後

オファーレターを提出したらあとは売り手の反応を待ちます。普通は24〜72時間以内に返事がきます(いつまでに返事をする必要があるかもオファーレターに記載する条項です)。僕の場合はすんなり受け入れられましたが、以前Private Lenderを使って別の物件を購入しようとしたときは断られました。もし売り手がカウンターオファーをしてくる場合は、だいたい購入価格が安すぎるため。そのときは折り合いがつくまでオファーのやり合い。

無事オファーが通ったら次はホームインスペクション(物件の点検)です。

 

住宅ローン会社を探す – アメリカで家を買う

現金一括で買う人は関係ありませんが、普通そんな大金は持っていないので住宅ローンを融資してくれる会社を探さねばなりません。月々の支払いに直接関わってくるので非常に大事なステップです。個人的に大変だったのは、家を買ったときに学生ビザ(F1ビザ)だったのでローン会社がなかなか見つからなかったことです。

探し方

  • 不動産エージェントに聞く
  • オンラインで探す
  • 友人の紹介

一番簡単で確実なのがエージェントや会社の人、友人に聞くこと。自分でいくつか当たってみて相場観を得るのもいいと思います。見積もりはタダなので。自分はエージェントの紹介+自分でオンラインで探して見積もりしてもらいました。

比べ方

「住宅ローンとお金」編で詳しく書きましたが、住宅ローンの種類(30 year fixed, 15 year fixed, 5/1 ARMなど)とローン会社を比較するときは金利(Interest Rate)だけでなくAPR (Annual Percentage Rate)も使います。APRは手数料も考慮した金利の指標です。会社によっては金利を下げて魅力的にみせておいて手数料で稼ぐ会社もあるのでそういった場合にAPRは便利です。





F-1ビザという制約

F1ビザだと、アメリカに長期滞在する意思がないとみなされ、ほとんどの銀行は融資してくれません。自分も苦労しました(といってもエージェントに丸投げしてました)が、優秀なエージェントのおかげで融資してくれるローン会社が2つ見つかりました。PHH Home LoansとGuaranteed Rate。両方とも、融資が降りた理由はH1Bビザ(労働ビザ)に申請しているからでした。Guaranteed Rateの方は大変で、上司から「アメリカに滞在する意思があり、この会社で長期間働く予定です」と一筆書いてもらう必要があったり。さらにAPRも金利も良くなかったので、最終的にはPHH Home Loansにしました。たまたま時期が良かったのもありますが、30年の固定金利で3.75%という低金利。大満足でした。

では普通のF1ビザの学生は住宅ローンの融資を受けれないのか?かなり確率は低いです。しかし、Private Lender(個人で金貸しをやっている人)なら貸してくれる可能性があります。自分は以前にも物件購入を試みていて、当時はOPT期間中でもなく完全な学生でした。融資してくれる銀行が全然なくて、唯一発見したのがエージェントが紹介してくれたPrivate Lenderでした。レンダーが提示した条件は、「頭金は20%、2年間は賃貸として(ただし物件所有者は自分)レンダーに家賃を払う。その後は普通にローンの支払いが始まる。」2年間は普通に賃貸するのと変わらないので一見良さそうですが、補修費用や保険や税金は全部自分持ちなのであまり魅力的ではありませんでした。結局オファーが通らなかったのでなしになりました。

不動産エージェントを探す – アメリカで家を買う

不動産エージェントはRealtor:リアルターとも呼ばれます。物件を探すのとほぼ同時期にエージェントも探すことになります。






エージェントの役割

エージェントは売り手側と買い手側にいて、それぞれが売り手と買い手を代表して連絡を取り合います。エージェントの役割としては、物件検索、物件の案内(Schedule a showing)、オファーレターの作成など、契約完了まで色々面倒を見てくれます。さらにローン会社、ホームインスペクター、弁護士、保険会社などオススメもしてくれます。

 

誰がエージェントにお金を払う?

物件を購入する場合、つまり買い手の場合はエージェントにお金を払う必要はありません。

アメリカでは売り手が売り手側と買い手側のエージェント両方にお金(コミッション、手数料)を払います。コミッションは物件価格の約6%(物件価格が$100,000なら$6,000)になり、通常は3%が売り手側エージェント、3%が買い手側エージェントにいきます。

余談ですが、エージェントによって個人でやっている人とブローカー会社に登録してやっている人がいます。後者の場合はブローカー会社とコミッションを折半するのでエージェントの収入は物件価格の1.5%程度でしょう。

 

エージェントとの契約:Buyer Agreement

ある程度物件探しが進んでいったりオファーをする場合は、Buyer Agreement(Exclusive Buyer Representation Agreementとも言う)という契約書にサインすることになるかもしれません。この契約書はエージェントと買い手との関係を書面で明確化したものです。Buyer Agreementは注意してサインしてください。というのも、 いったんサインすると家の購入はそのエージェントを通してすることになり、別のエージェントにかえることができません。契約違反の場合は何かしらのペナルティがあります。サインする安全なタイミングはオファーをしたときでしょう。契約書を催促してくるエージェントはいただけません。ちなみに僕のエージェントは特に何も言って来ず契約書もありませんでした。

 

探し方

オンラインか、人づてです。なるべく経験の多いエージェントがいいですが、忙しかったり固定客がいたりしてあまり見つかりません。会社の人に聞いたり、友達に聞いたりして探してみてください。




自分の体験談

今まで4人のエージェントに多少なりともお世話になりました。以下それぞれの印象。

エージェント1:
アパートを探したときにお世話になった若手の男性エージェント。いい人なんですが、口数が少なく聞いてもあまり答えてくれないし有益情報も特になし。結局このエージェントには頼まず。

エージェント2:
友人から紹介されたエージェント。賃貸がメインだけど売買もやるよと言われたのでしばらくお願い。しかし、駅から徒歩10分圏内と言っているのに徒歩25分くらいの距離にある物件を送って来たりしてあまり言ってることを聞いてくれないのでフェードアウト。

エージェント3:
物件をオンラインで検索したときその物件の担当だった女性エージェント。セールスや人と話すのが好きというだけあって話すのは楽しいが経験が浅くて下調べしまくっている自分の方が詳しいんじゃないかと思うレベル。自分がかなりいいと思った割安(価格は安いけど価値はありそう)な物件を見に行ったとき、「建物が古い、汚い、眺めが悪い、ちょっと値段をあげればもっといい物件がある」と言われる。結局その物件はすぐ売れたのであまり経験がないのかなという感じでした。

エージェント4:
友人からの紹介で知り合ったアジア系エージェント。英語がわかりやすい、聞いたことに答えてくれる、責任感がある、仕事が早い、経験が多い、といいとこづくめでした。結局このエージェントとコンドを購入。

ところでエージェントがいくらいい人だったとしても、エージェントの意見を丸呑みするのは危険です。エージェントは仕事としてやっているので当然あなたに物件(さらに言うと高価な物件)を買ってほしいわけです。エージェントの意見は参考程度にして、決断するのは自分だということを忘れないでください。