アメリカで一番税金が安い州は?アメリカ税制の基本と税金別マップ

アメリカには大きくわけて3種類の税金があります。州によってこの3種類の税率が大きく異なっており、税制上有利な州、不利な州があります。

  • 所得税(Income Tax)
  • 固定資産税(Property Tax)
  • 消費税(Sales Tax)

アメリカでは税金は連邦(Federal)と州(State)に支払います。連邦に支払う税金は所得税のみですが、州に支払う税金は所得税、固定資産税(家を持っていれば)、消費税のすべて。違う州に転職すると、その年の確定申告では連邦と2つの州に税金を納めないといけないので非常に面倒です。また、日本と違ってアメリカには住民税がありません。

以下、それぞれの税金を詳しくみていきましょう。

所得税(Income Tax)

まずは所得税の州別マップ。州によって面白いほど違います。カリフォリニアは圧倒的に高くて13.3%。その一方テキサス、フロリダ、ネバダ(ラスベガスがある州)などは所得税なし。

ただしこの地図の所得税率はそれぞれの州で最大のものを載せています。税率は所得によって異なり、カリフォルニアの13.3%は収入が100万ドル(約1億円)以上の場合。年収1000万円程度なら税率は9.3%になります。

所得税率の州別マップだけ見ると日本より税金が安いように思えますが、所得税は連邦にも払う必要があり、連邦の方が州より圧倒的に高いです。アメリカでは日本と同じく累進課税制度、さらに言うと超過累進税率を使っています。

超過累進税率:
課税の対象が一定金額を超えた場合に、超えた部分については高い名目税率を課し、超えない部分については元の(低い)名目税率を課す仕組み。例えば日本で200万円の課税所得があれば名目税率は10%ですが、実質税率は約5%になり、約10万円の税金を支払うことになります。

アメリカの課税所得(Taxable Income)と名目税率(2017年)から実質税率(Effective Tax Rate)を計算した結果がこちら。

連邦の実質税率と課税所得の関係

収入が100,000ドル(=約1,000万円)なら実質税率が約21%なので約21,000ドル(=約210万円)の税金を連邦に支払うことになります。連邦の実質税率を日本と比べると大体同じですが、日本は住民税(10%)があり、アメリカは州に支払う所得税があるので、州によってはアメリカの方が若干税負担が低いようです。

固定資産税(Property Tax)

不動産を持っているとかかってくるのが固定資産税。一番高いのはニュージャージー州(ニューヨークシティのベッドタウン)の2.21%で、一番安いのがハワイ(0.3%)。カリフォルニアは意外と低めな0.74%ですが、そもそもの住宅価格が高いので支払う固定資産税も高くなります。

消費税(Sales Tax)

一番多くの人が気にするのが消費税。消費税なしの州はあまりなく、モンタナ、オレゴン、ニューハンプシャー、デラウェアのみ。(アラスカ州も基本的に消費税なしですが一部の都市であり)所得税なしのワシントン州で働き、オレゴン州で買い物すれば(州に支払う)消費税もなしにできます。

まとめ

最後にいくつかの州の税率をまとめてみました。アメリカ3大都市(ニューヨークシティ、ロサンゼルス、シカゴ)があるニューヨーク州、カリフォルニア州、イリノイ州は全体的に税金が高め。

アメリカで総じて一番税金が安い州はアラスカ州。税金が安い代わりに州の予算は石油採掘で賄われています。実際アラスカ州の州債のレーティングは非常に高く、かなり金銭的に潤っている州です。さらに、アラスカ在住者にはAlaska Permanent Fundから毎年配当金が支払われます!毎年金額が変動しており、一年で約1,000ドルから2,000ドルがもらえます。最近話題のベーシックインカムですが、アラスカでは1982年から実施(配当金は少額ですが)されています。

ちなみにトヨタをはじめ最近カリフォルニアからテキサスに移転する企業が増えていますが、これはテキサス州では従業員の生活コストが減ることと法人税率が安いことが理由です。法人税率のマップはTax Foundationのページでご覧ください。

参考:Tax Foundation

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