日本人は英語が苦手と言われて久しいですが、他の国と比べて実際どれくらいのレベルなのでしょうか。親切なことにETS(TOEFLやTOEICやGREを作成する団体)がTOEFLの統計データを公開しているので、最新データ(2022年)を元に国別にスコアを比較してみました。
全世界のTOEFLスコア比較
こちらが全世界のTOEFLスコアをビジュアル化した図。オレンジ色になるほど点数が高く、青色になるほど点数が低くなっています。世界一位はオーストリアで101点、最下位はトーゴで60点となっています。気になる日本は、全173カ国中(データのない国は除外)146位。
スピーキングに限ると、ベトナム、カザフスタンに続き日本はなんと全173カ国中ワースト3位という結果。
アジアのTOEFLスコア比較
アジア諸国だけをまとめて比較した結果がこちら。
1位はシンガポール。公用語も英語なので納得。インド、香港、パキスタンがそれに続きます。これらの国はいずれもエリアによっては公用語が英語だったり、日常的に英語を使う国です。近所の韓国は86点、台湾が87点、中国が90点となっています。2019年に16位だった中国が2022年には6位に躍り出ているのも興味深いです。そして日本は下から3番目の73点。
先進国のTOEFLスコア比較
最後に先進国だけをまとめてスコアを比較。先進国とは厳密には定義されていませんが、統計などではOECD(経済協力開発機構)加盟国を先進国として扱うことが多いです。現在のOECD加盟国38カ国のTOEFLスコアでランキングを作成してみました。
こちらの画像を見ると分かるように、日本は圧倒的に最下位。むしろ逆にこんなに英語が出来なくても先進国の仲間入りできていることに日本の底力を感じます。OECDはヨーロッパが中心の団体なので仕方ないといえば仕方ないですが。
アメリカは25位と意外と下の方にいますが、これはおそらく受験者の多くはアメリカ人ではなくアメリカで勉強している留学生でしょう。ほとんどのアメリカ人はTOEFLを受験する必要がないので。英語圏のニュージーランドが上位でないのも同様の理由と考えられます。
注意事項
データを読むにあたって注意しなければいけないのは、「受験者数は不明」なことと「国によって受験者の特性が違う」ことです。国によっては、英語が得意な人、高学歴な人ばかりが受験する場合や、モチベーションが低く半ば強制的に受験させられている人が多い場合が考えられます。なのでETSが公開するTOEFLのスコアに国民の英語力が反映されているとは言い難いのが現状(ある程度相関はあると思いますが)。ETSのドキュメントにも以下のように記載されています。
The TOEFL test provides accurate scores at the individual level; it is not appropriate for comparing countries.
TOEFLは英語が母国語としない人が受ける者だと思っていましたが、違うんですね~。日本人はテストでは最高点を取るんだと思っていたので、この結果にはビックリ。
>美紀さん、
英語がほぼ母国語の人でも、アメリカの大学院受験などで必要なのでTOEFLを受けているように思います。
えええ? そうなの? 私の場合は米国の大学を出ているので、大学院の時は受けなくてよかったんですが、英語を母国語にするけれど米国出身以外はみんなってことにかな。やっぱり平等にっていうことなんでしょうね。
United Statesの得点が、27位というのが、やはり気になります。出身国と第一言語を、明記してもらえると助かります。TOEFLの場合、英語母語話者ならば、特に対策をしなくても、満点に近い得点が出るように、作成してある筈です。英語母語話者の直感に合わせて、テストの出題内容が調整されているからです。基準となる英語母語話者が、満点を取れないなら、やはり、少し抵抗があります。同じことが、日本語能力検定試験にも言えます。日本人が受けたら、特に、対策をしなくても、全員が、満点を取るように、テストの方を調整してあります。
残念ながらアメリカ国内の出身国と第一言語別のデータは見当たりません。記事の最後にあるETSデータのTable 15:母国語別のスコアによると、英語が母国語の方の平均スコアは91となっています。
ただし、ETSの断り書きにもありますが、この91点という標本平均は本来の英語母国語話者の母平均とは異なっていると予想されます。
そういえば日本の場合そこまで勉強が得意でない学校でも普通に受けますからね…
同ランクのコンゴ民主共和国とかは識字率も低いしちょっとわからないかも