アメリカ不動産には季節性があり、夏は物件の購入価格が上がり、冬は逆に下がる傾向にあります。同じことが賃貸でも起こり、夏は人の移動が多く、賃貸を探す人が増えるので家賃も自然と上がります。逆に冬に賃貸を探す人は少なく、需要が減るので家賃も下がります。その理由は2つ。
理由1:学校の期間
アメリカの学校は9月に始まり5月に終わります。多くの親が子供の学校の区切りがいいところで引っ越したいと考えているので、夏が引っ越しシーズンとなります。
理由2:ホリデーシーズン
年末年始はクリスマスなどイベントが多いのでこの時期(冬)に引っ越ししたい人はあまりいません。
次にデータをみてみます。下の青線がRedfinのデータから作成した過去5年間のアメリカ全体の平均的な物件価格。アメリカはけっこうインフレするので、インフレ率を考慮したデータ(赤線)も入れています。一年を通してみると、1月・2月に最も安くなり、6月・7月に最も高くなっています。インフレ調節されたデータの各年の最高値を前後の最低値の平均で割って、夏と冬の価格の差を計算すると、「夏の方が冬よりも平均して9.2%価格が高い」という結果が出ました。
季節による流動性
夏はセラーもバイヤーも多く、たくさん取引が行われるので流動性が高くなります。冬はその逆で流動性が低くなってしまいます。こちらが毎月どれくらいの物件取引が行われたか、流動性を示すグラフ。季節性が顕著に出ていて、年によっては夏と冬で物件売買の量に2倍近く差があります。
季節による物件の掲載期間
もう一つ季節性が顕著に現れるのが、物件がマーケットに出ている期間。物件を売る場合には非常に役立つ情報です。夏は掲載期間が30日から60日なのに対し、冬は60日から90日も掲載されています。どうしても冬に売らなければいけない場合、売れるまで2、3ヶ月はかかると思っておかないといけません。逆に買い手の場合、冬の売り手は切羽詰まっているので買い叩ける可能性が高いです。
夏は売り手市場、冬は買い手市場
売り手市場か買い手市場か見極めるには、どれくらいの数の物件が売値より高く(安く)売れたかを見れば分かります。こちらのグラフの縦軸は何%の物件が掲載価格より高く売れたかを示しています。縦軸の値が20%なら、80%の物件は掲載価格より安く売れたということになります。
このグラフをみると、冬は物件が売りたたかれ、買い手市場なのがよく分かります。ただし地域による違いもあり、例えばシアトルやサンノゼはかなり売り手市場(需要>供給)なので、掲載価格よりも高めにオファーを設定しないと購入できないときもあります。