H-1Bビザで働いていたアメリカの会社を解雇(レイオフ)された話

自分はアメリカの大学院を卒業して、3年ほどアメリカの会社でエンジニアとして働いていましたが、リストラにあってしまいました。といっても自分だけ解雇されたわけではなく、部署ごとなくなりました。理由は業績の悪化。自分の働いてるテック業界ではよくあることです。次の会社はなんとか運良く見つかり、H-1Bビザも失効することなく働けています。

前兆、レイオフされる日

数年前から会社の業績は悪く、一年前にも大規模なレイオフがありました。そのときは隣の部署がまるごとなくなり、アメリカってこわいなと思いましたが、まさか自分がそんな目にあうとは思っていませんでした。会社でちらほら次のレイオフはいつぐらいらしいという噂を聞いたり、経営陣の何人かが急に辞めたりといった不穏な動きがでてきたころその日はやってきました。

当日、会社に行くとみんながざわついており、上司から今レイオフが発表されていて上司も対象になってしまった、と告げられました。びっくりしていたのもつかの間、上司ではない別のマネージャーから呼び出され、自分がレイオフの対象になったこと、退職日は今日から30日後と告げられ、書類をもらいました。

数百人規模のレイオフで、結局同じ部署の人はほぼ全員(自分の上司も、その上の部長まで)対象となっていました。自分だけ解雇というわけではないのが不幸中の幸い。

解雇手当

もとの会社から解雇手当(Severance Package)を受け取りました。勤続年数と年収によって手当の額は異なります。自分の場合は勤続年数が約3年だったので、退職日から2ヶ月間給与が支払われました。医療保険は有効期間が退職日から4ヶ月後まで延長。

手当とは別にRetraining Assistance Programというのもあり、転職のためのスキルアップにかかる費用を2500ドルまで負担してくれるというサービスです。資格取得、受験、オンラインコースなどに使えます。自分もこの機会にオンラインコースを受講することにしました。

レイオフ(lay off)とファイア(fire)の違い

両方とも解雇、リストラ、クビといった意味ですが、以下のような違いがあります。

  • レイオフとは会社都合(業績悪化など)で労働者を解雇すること
  • ファイアとは労働者側に問題(パフォーマンスが悪い、会社のルールを守らないなど)があって、会社がその人を解雇すること

ちなみにファイアは「You’re fired!」(お前はクビだ!)のように使います。アメリカは競争社会で仕事ができないとすぐクビにされるイメージがあるようですが、fireされることは滅多にありません。以前自分の会社である従業員が別の従業員のモニターを意図的に壊してクビになったという話は聞きましたが、それ以外には聞いたことがありません。しかしレイオフはよくあります。


レイオフ後、H-1Bビザはどうなる?

自分はH-1Bビザで働いているので、雇用先がなくなればアメリカから退去しないといけません。しかし、2017年1月17日からUSCISの法律が変わり60日の猶予期間が設けられました。

簡単に説明すると、H-1Bビザ保有者は、もとの会社の最終勤務日から数えて60日以内に次の会社で働き始めればアメリカから離れなくてもいいというルールです。

転職先が決まったら、次の会社で働き始めるために、新たにH-1Bに申請する(H-1B Transferとも言います)必要があります。H-1BのPetitionがApproveされる必要はなく、USCISのReceipt Noticeを受け取ればその日から働き出せます。H-1Bに申請してからReceiptがくるまでは約2週間、承認されるまでは2、3ヶ月かかります。$1,225払ってPremium Processingにすれば、数日でReceiptがきて15営業日以内に承認されます。

自分の場合、転職先がぎりぎりで決まったこともあり、次の会社がPremium Processingにしてくれて問題なく働き始めることができました。

H1Bビザスタンプ取得の手順


ゴールデンウィークあたりに日本に帰国しておりました。主な目的がH1Bのビザ(スタンプ)取得。詳しく言うと、H1Bビザのステータス(I-797A)はすでにゲットしていて、前年の10/1から有効になっています。詳しくはこちら

H1Bステータスを取ってからアメリカ国外に出るのは今回が初めてで、アメリカに入国するためにパスポートに貼り付けるビザスタンプ(実際はビザのシールみたいなものですが)が必要になるので、日本のアメリカ大使館で取得した、という話。もうH1Bステータスがあるのでわりかし簡単でした。

ビザ取得までのスケジュール

今回のH1Bのビザスタンプ取得のスケジュールはこんな感じ。

3/18 オンライン申請(DS-160)、ビザ面接予約
4/25 大阪大使館で面接
4/26 大使館から追加質問の電話(OPT終了からH1B開始までの期間の確認)
5/8(朝)パスポートが新宿郵便局到着
5/9(夜)自宅到着

ゴールデンウィークを挟んでいたので発送まで2週間くらいかかってますが、営業日を数えると約1週間でした。パスポートが届いた次の日がアメリカに戻るフライトだったのでだいぶ焦りましたが。笑

5/9に大使館のページからパスポートを追跡してみると、「パスポートは発送のため、大使館・領事館から 持ち出され、発送手続き中です」と出ました。発送されれば郵便局から通知が来るとあり、まだ通知がなかったので諦めかけたんですが、最後の望みをかけてチャットで追跡状況を聞いてみました。すると追跡番号が送られてきました!おそるおそるチェックすると5/8に新宿郵便局からレターパックプラスで発送されていました。このレターパックプラスのお届け日数を調べたところ、なんと1日で到着することになっていました!そして本当に5/9に届きました!ありがとう日本郵便、、、無事フライトを遅らせなくて済みました。

というわけで年末年始とか休みを挟むときはもっと余裕をもって飛行機予約した方が良さそうです。

面接にて

持参した書類は

  • 面接予約確認書
  • DS-160確認ページ(忘れた)
  • 証明写真
  • レジュメ
  • 学位証明書
  • 納税証明(W-2)
  • 今年の給与明細

アメリカ大使館の公式ページにある必要書類はこちら。

大使館で書類確認中に「DS-160を印刷したものはないですか?」と聞かれて忘れたことに気づく。。しかしオンラインに情報が保存されているようなので大丈夫でした。面接内容はたいしたことなくていつから働いたか、いつ大学院を卒業したか、会社では何の仕事をしてるか、などでものの5分で終了。しかし、別の人が「北朝鮮に行ったことはあるか」「北朝鮮に知り合いはいるか」と詰問されていてトランプさんになったし最近の情勢もあり厳しくなったのかもしれません。

面接の翌日に自宅に電話があり、「OPT期間の終了が6月でH1B開始期間が10月なので、その間はどうしてたのか」と聞かれました。その間はUSCISにも記載してある”Cap Gap Extention”というルールがあるので、H1Bステータスが承認されていればF-1ビザのまま仕事ができます。担当の人はあまり納得していませんでしたがとりあえずその旨を伝えました。「I-20をスキャンして送ってください」と言われたので送付して終了。I-20は運良く持って帰ってたのでよかった。

後日談

後日無事パスポートがビザとともに送られてきました。心配していたアメリカ入国も超スムーズ。OPTの時はいつも奥の小部屋に連れて行かれて長時間かかってましたが。有効期限が3年だと思ってたら2年しかなかったのが残念なところ。

Tomoko Matsukawaさんの体験談(失敗談?)も非常に参考になるのでご一読あれ。F1ビザのときと違いH1Bはほとんど日本語で情報がないので自分も重宝しました。

 

OPT期間中はSocial Security TaxとMedicare Taxの税金免除

実はOPT期間中は、多くの人はSocial Security TaxとMedicare Taxを払う義務がありません。中国人の友人が教えてくれるまで自分も知りませんでした。今のレートだと、Social Security Tax 6.2%、Medicare Tax 1.45%なので、年収$100,000なら$7,650も節税できます。

IRSはオンライン上で外国人に対する納税義務を明記しています。

簡単にまとめると、F-1ビザでOPTを使って働いている場合、IRSのTax Filing Statusが”NONRESIDENT ALIENS”であれば(ほとんどの人がこれに当てはまります)税金免除になります。(OPT以外でも税金免除になるケースは色々あります、詳しくはIRSのページで)

以下の2つのテストで自分が”NONRESIDENT ALIENS”か”RESIDENT ALIENS”を判断します。もしいずれかのテストをパスすれば”RESIDENT ALIENS”となり、税金免除にはなりません。




Green Card Test

このテストは単純にグリーンカードを持っていれば”RESIDENT ALIENS”となります。

 

Substantial Presence Test

アメリカに実際に滞在している期間が最低でも
(1)今年に31日でかつ、
(2)今年を含めた過去3年間で183日:計算方法は、日数=今年の滞在日数すべて+1年前の滞在日数/3+2年前の滞在日数/6、
であれば”RESIDENT ALIENS”となります。

ただし、F1ビザの場合5年間は滞在日数がカウントされず、6年目の1月1日からカウントされます。ここで言う5年間はカレンダーイヤーで、学生を始めた日付でなくて、何年に始めたかによってカウントします。ややこしいですね、、、

具体例を挙げると、
アメリカに来て学生を始めたのが2011/08なら、2016/1/1から滞在日数のカウントが始まります。2016/7/1に183日を超えるので、この日付でNonresident AlienからResident Alienに変わります。

不安な人は税理士に聞くといいでしょう。IRSが他にも具体例を挙げてます。

 

注意事項

雇用主(会社)は税金免除のことを知らせてくれないので自分で会社の給与課にお願いする必要があります。また、ステータスが変わって(F1からH1-Bビザになったり、nonresidentからresident alienになったり)税金免除期間が終了したときには会社に知らせて納税を開始しないといけません。

Diversity Visa 〜グリーンカード抽選プログラムとは〜

アメリカの永住権にはいくつか種類がありますが、その中でもユニークなのがダイバーシティビザです。これは通称グリーンカードロッタリーと呼ばれ、毎年世界中から応募者を募り、抽選で5万人に永住権が与えられます。運も実力のうちというか、ほぼ誰にでもチャンスがあるっていうのがアメリカらしい。最初聞いたときは冗談めいたスパムかと思ってました。笑 その名の通り、アメリカへの移民の多様性を高めることを目的としたビザです。
応募条件は高校卒業していることと、アメリカ政府が指定した国の国籍を持っていること。中国やインドなど、すでにアメリカにたくさん移民した国はこのプログラムの対象外になっています。




応募のやり方

応募はめちゃくちゃ簡単です!すべてオンラインで出来ます。必要なのは写真のみ。オンラインフォームに名前、住所、最終学歴などを記入して、問題なく進めば以下のような確認ページが出るので、スクリーンショットか印刷して終わりです。予約番号は結果チェックの際必要です。詳しい説明はここで見れます。(日本語約あり)

masked-copy

申請と結果発表の時期

申請は毎年10月頃から1ヶ月間、結果発表は次の年の5月頃です。スパム対策で当選しても連絡は届かないので自分でチェックする必要があります。申請と結果のチェックはElectronic Diversity Visa websiteから。申請から結果発表までの間が開きすぎてチェックするの忘れてる人いそうですが。。ちなみに申請時期とDiversity Visaの名前には2年のギャップがあります。例えばDV-2018には2016年10月頃申請になります。

Diversity Visaは毎年5万人に与えられてますが、当選しても申請が通らなかったり申請しなかったりする人もいるので実際には10万人程度が当選しています。ビザ取得者が5万人を下回る可能性もあり、その場合は当選者が追加されていきます。なので最後まで諦めず5月以降もときどき結果のチェックをするようにしましょう。

あと、当選はあくまで「永住権に申請する権利を得た」だけなので、当選後は大使館で面接したり申請手続きをする必要があります。

確率

Diversity Visaが与えられる割合は国ごとに違っていて、アメリカにすでにたくさん移民がいる国は割り当てが少なくなります。なので当たる確率は国ごとに違います。オフィシャルの統計情報によると、日本人の当選確率は毎年約1%です。(DV-2015だと応募者が50,501人、当選者が636人)

偽サイトに注意

「Diversity Visa」で検索するとたくさん結果が出てきて、中には怪しいサイトが多数あります。
見分けるポイントは、URLのドメインネームが○○○.govになっていること。.govならアメリカ政府のサイトで本物です。

F1ビザからのOPTからのH1Bビザ

ビザの話。

僕は学生ビザでアメリカに来て、1年間のOPTを経て最近労働ビザに切り替わりました。アメリカの大学・大学院を卒業してアメリカで働きたいと思ってる人の多くがこの道を通ることと思います。

ちなみに、
F1: 学生ビザ
H1-B: 労働ビザ
OPT (Optional Practical Training): F1ビザのまま、1年間労働できる権利です。アメリカの大学・大学院を卒業すると申請できます。




F1ビザからOPT申請

OPT申請に必要な書類は以下。

Form I-765
I-20のコピー
I-94(オンラインでダウンロードしたものでオッケー)
パスポートとF1ビザのコピー
写真
$380のチェック

OPTの申請が無事通ればEAD (Employment Authorization Document) カードがもらえて、これがOPTステータスの証明になります。

注意事項としては、OPTの書類送付からEADカード取得まで2、3ヶ月かかります。

アメリカ就活では内定がもらえるのは卒業間近なので、内定をもらうよりもOPTの書類送付が先になることもあります。つまり働き先も決まってないのに働き始める予定日が決まります。さらにOPT期間中、働いていない日数は90日以下でないといけないというルールがあります。なので、働き始める予定日から90日以内に実際に働けるように内定をもらわなければいけません。僕もOPTの書類送付を先にしましたが、内定がもらえるかけっこう不安でした。そして内定をもらったらもらったでEADカードが予定通りもらえるかどうかも不安でした。笑

USCISのサイトで自分の書類がちゃんとプロセスされてるかチェックできます。以下が僕の記録。実際に書類送付したのは4/15以前なのでEADカードをもらうまで2ヶ月ちょっとかかってます。

4/15 Document Received
6/8 Card Was Ordered To Be Produced
6/11 Card Was Mailed To Me
6/15 Card Received

OPTの有効期間は基本1年なんですが、STEM Extentionというのがあります。STEM(Science, Technology, Engineering, Math)専攻の学生はOPTの期間を17ヶ月延長でき、合計29ヶ月OPTステータスで働けるという素晴らしい制度です。

あと、OPT申請中はアメリカの出入国はしない方がいいですが、OPT期間中はアメリカの出入国は自由に出来ます。入国時にI-20、EADカード、オファーレターが必要です。僕も2回日本に帰りましたが特に問題ありませんでした。毎回入国時にチェックされて隣の小部屋で詳細検査みたいなのがありましたが。笑

 

OPTからH1Bビザ申請

H1Bは労働ビザで、アメリカでは2004年から毎年85,000人にH1Bを付与しています。
しかしリーマンショック以降景気が回復してきて出願数が大幅に増えており、ここ数年は抽選が行われています。2016年はなんと236,000人が抽選にかけられました。僕もそのうちの一人です。僕は運良く一度でH1Bをゲットできましたが、友人は抽選にもれ、OPTも1年のみだったので帰国してしまいました。

抽選方法は、最初に修士以上の学生が抽選にかけられ、20,000人が選ばれます。次に抽選にもれた修士以上の学生とそれ以外の学生が合わせて抽選にかけられ65,000人が選ばれます。つまり修士以上の学生は2回チャンスがあります。簡単に計算すると、2016年でH1Bの抽選に当たる確率は学部生が30%、大学院生が約40~50%(236,000人のうち何割が大学院生かによりますが)です。

流れとしては1月から3月くらいにかけて必要書類を弁護士に提出、4月に弁護士が申請、4月か5月くらいに抽選結果が分かり、6月くらいにH1Bが正式に承認されたと連絡があってI-797A(H1Bステータスを証明する書類)がもらえます。H1Bステータスが有効になるのは10/1からなんですが、H1Bが承認されればOPTが自動的に10/1まで延長されます(Cap Gap Provisions)。

申請日は4月の第1週からで、弁護士が提出します。一応「4月の第1週から」となってますが、出願数の大幅増で初日に上限突破してしまうので初日に提出しないと抽選にも入れません。

費用はアメリカの会社なら普通会社持ちだと思います。日系会社はけっこう自費だったりするようです。

H1Bをゲットすれば3年間有効で、1回更新できて最大6年間有効。その間に最後のステップであるグリーンカードに申請する感じです。

 

H1Bの代わりにO1ビザ

博士までいくとH1Bの代わりにO1ビザというオプションもあります。O1は特殊技能を持っていると証明された人がもらえるビザです。STEMでOPTやってたけど抽選に落ち続けた友人はO1をゲットしてました。大きな会社に入ると、このあたりのケアは会社が全部やってくれるので比較的気が楽です。

 

OPTとCPTで2年働く

OPTの有効期間は(STEM Extentionがない限り)1年しかなく、H1Bの抽選に一度しか応募できないので、アメリカに滞在できる確率が低いのが問題です。そこで、大学に席を残したまま、インターンというかたちで1年ほど働き、そこからOPTに切り替えてさらに1年、この間にH1Bに申請するという手もあります。このインターンの身分で労働できる権利がCPTです。OPTを使うにはCPTの期間は365日未満でないといけません。僕はCPTを使わなかったんですが、中国人の友達はけっこう使ってました。

中国人にはネットワークがあってみんなビザにはかなり詳しいので、友達がいたら聞いてみてください。