フィンランドの教育システムでは学習時間が少なく、休むときは休んでメリハリをつけて勉強するから効率的だとか。フィンランドの教育を取り上げた記事や書籍はアメリカにも日本にもたくさんあります。
しかし、それは本当なのか、、、にわかに信じられません。効率が上がるのは分かりますがそれで勉強量が多いアジア諸国に勝るのはなぜなのか。出典がない記事も多い。研究をやってるとどうも疑い深い性格になるようです。笑
というわけでちょっと調べてみました。
最近は世界一ではない
まず、国際学力比較調査なるものをPISA(Programme for International Student Assessment)という団体がやってるようですが、最近は1位ではありません。
最新の2012年の結果だと分野によって5位から12位。2000年、2003年、2006年と1位でしたが最近は順位を落としてるようです。ちなみに2015年の結果はPISAのウェブサイトで2016年12月6日に公開予定のようです。
平均値という罠
どうもフィンランドは、学力格差が少なく学力の低い人が少ないようです。逆にめちゃくちゃ学力が高い人がいるわけではありません。例えば以下は数学的リテラシーの結果です。
フィンランドはLevel 5(問題の難しさでレベル分けされてる)以上の割合が15%ですが、順位はドイツやポーランドより上です。アメリカや中国のような大国だとどうしても学力格差が大きいので、平均をとるとおのずと平均値は下がります。
PISAあれこれ
Wikipediaを見ると、「全参加国の平均点が500点となるように計算した点数である (Stanat et al., 2000)」とあり、「各年代間はIRT Scale Linking法(Mazzeo and von Davier, 2013)でデータスケーリングがなされている」とあります。ということは自国の点数は常に他国との相対的な点数であるということでしょう。つまり、例えば日本の点数が下がる理由は「日本の学力低下」「他国の学力向上」の2つがあり、日本の点数が下がった=学力低下とはいえないわけです。
ちなみにPISAのサイトでサンプルテスト受けれます。
測定された学力とは
結局何が測定されているのか?
2時間程度のテストで総合的な学力を測定するというのはかなり難しいと思います。答えのある統一テストだと独創性は測れません。例えばどこかの国でPISA対策テストなんかやっていれば簡単にスコアをあげれるでしょう。PISAの取り組みは素晴らしい一方で、こういった結果の解釈には注意が必要です。
タイトルで釣っている感が否めない
どうも結果が一人歩きしている状態な気がします。フィンランドの教育は、アジア諸国をはじめとする詰め込み式の教育と正反対のゆとり教育で学力が高いってことで注目を集めているのでしょう。
少々批判的になってしまいましたが、別にフィンランドの教育システムを否定しているわけではなく、学力世界一というのは語弊があるという話でした。効率的に勉強するシステムは魅力的だし、見習うところは多くあると思います。