アメリカのテクノロジー企業で働くエンジニアは高給取りと言われていますが、まさにその通り。今回は有名どころのFacebook, Microsoft, Apple, Google, そしてTexas Instruments (TI)の給料を比較してみます。TIはあまりなじみがないかもしれませんが、半導体を作る大企業です。
比較対象は(税引前)年収、ボーナス等含めた総税引前年収、手取り年収、そして本社近辺の家賃です。あとで述べますが、アメリカの多くの会社は家賃補助がないので家賃を考慮に入れて年収を考えます。手取り年収は総年収にそれぞれの本社がある州の税率を適用して算出しました。職種はソフトウェアエンジニアに絞って比較。以下がその結果です。
Apple | Microsoft | TI | |||
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税引前年収 | $122,771 | $125,361 | $127,349 | $104,279 | $95,389 |
総年収 | $147,606 | $203,007 | $167,207 | $117,808 | $103,805 |
手取り年収 | $91,070 | $124,008 | $102,893 | $83,472 | $74,461 |
家賃 | $2,306 | $2,306 | $2,306 | $1,600 | $1,138 |
手取り - 家賃 | $63,398 | $96,336 | $75,221 | $64,272 | $60,805 |
まず年収ですが、やはりシリコンバレーの企業(Google, Apple, Facebook)の給料は軒並み高く、ボーナスまで含めるとFacebookはなんと年収2000万円超え(1ドル100円換算)です。一方テキサスに本社を置くTIやシアトル近郊のRedmondのマイクロソフトの給料はそれほど高くありません。
次に手取り収入。面白いことに税引後は一気に給料の差が縮まります。これは各州で税率が違うことと、所得階層によって税率が違うことが寄与しています。カリフォルニアの所得税はアメリカで一番高く、一方でワシントン州とテキサス州は所得税ゼロです。(ただし所得税は州だけでなく連邦にも払います)
最後に家賃ですが、シリコンバレー(サンノゼ、サンフランシスコ)エリアはアメリカ随一家賃が高いエリアで1ベッドルームが一ヶ月$2,300。年間の家賃を引いた手取り年収を比較すると非常に面白い結果が得られました(上のテーブルの最後の行)。年収の差はさらに縮まり、Apple, Microsoft, TIは数千ドルの違いのみでほとんど同じ収入(約$60kから$64k)です。
データソース
給料はGlassdoor、税引後(手取り)年収はpaycheckcity、家賃はZillow Rent Indexから引っ張ってきました。Glassdoorは以下のような感じで職種別、地域別、経験別に年収をみることができます。給与とボーナスの種類(現金、ストックオプションなど)までチェックできます。
Zillow Rent Indexは以下のようになってます。メジャーな地域は網羅されていてベッドルーム別に家賃がみれます。
家賃手当、交通費支給はなし
日本の会社と違い、アメリカでは家賃手当や交通費支給といった福利厚生は普通ありません。交通費は税金控除の対象にはなりますが、支給されません。そのぶん給料に上乗せされてる感じでしょうか。
年功序列なし、競争社会、すぐリストラ?
アメリカには年功序列はなく、競争社会で、出来ない人はすぐ首をきられる、とよく日本と比較して言われますが、程度が日本ほど激しくないだけです。アメリカにも少なからず年功序列があるし、競争社会かもしれませんがすぐクビにするほど無慈悲ではありません。日本と決定的に違うのは新入社員の給料で、最初の給料が高くて、年齢を重ねても日本ほどは上がっていきません。給料は年齢よりも役職により、マネージャー(課長職)になると給料が1.5~2倍になり、ディレクター(部長)になればたぶん平社員の数倍はあるんじゃないでしょうか。ちなみにアップルに行った人たちの話では博士卒で入社すれば相場は年収$120,000+ストックオプション$20,000くらいらしいです。
まとめ
アメリカのテクノロジー企業の給料は高いですが、税金と家賃を考慮すればかなり現実的な数字になりました。家賃補助がある日本企業と比べれば意外と待遇は変わらないかもしれません。