アメリカの博士課程に授業料タダ、生活費支給で留学できた経験談

博士課程というと、みなさんどういうイメージでしょうか。日本にいると「まだ学生やってるの?(笑)」なんて言われることが多く不快ですが、アメリカでは「おおすごいね!」という反応が多いです。日本とアメリカでは博士のイメージも違いますが、待遇も全然違います。アメリカではほとんどの博士課程の学生(いわゆる文系は例外ですが)は授業料免除+給料支給です!自分が博士課程に進学するならアメリカ、と考えていた理由の1つも「経済的に自立した生活ができるから」でした。

授業料

博士課程の学生は研究活動を通して大学・大学院の評判を高めてくれるので、大学側(特に私立)もいい待遇で迎えてくれます。その分、大学生から多くの学費をとっているとも考えられますが。アメリカの大学・大学院の授業料はめちゃくちゃ高く、私立なら年間約400万〜550万円(2017年現在)なのでそれを免除してくれると思うとすごい。自分が留学した研究室はかなり潤っていて、授業料免除に加えて入学時にMacbook Proがもらえました。日本にいたときの研究室が貧乏だったのでかなり嬉しかったです。

医療保険も無料

博士課程の学生は医療保険も無料で入れます。自分の大学院では年間$1,148する保険がタダになっていました。

給料

給料はTA(Teaching Assistant)やRA(Research Assistant)をすることで支払われます。TAは試験監督や採点など雑務が多いので、研究してお金をもらえるRAが人気ですが、競争も激しいです。給料支給ということで、Social Security Cardもゲットできてクレジットカードを作れたりもしますし、税金も払います。

博士課程は4年間在籍して、1年目はTAをやっていました。最初のセメスターはLinuxサーバーを使ってリモート授業を可能にするシステムの構築(自分の専門と全く違うので大変でしたがTAは四人いたのでなんとかなりました)。次のセメスターはふつうに教授の授業の手伝い。2年目からはRAで、運良く長期(2,3年)のプロジェクトを持っている教授のもとで研究できることになり、そのまま卒業まで同じ研究をすることができました。夏休みは共同研究先でインターンをしていたので、年中自分の研究が出来ていたことになります。

自分の場合はラッキーで、RAの内容が自分の研究内容と必ずしも一致するとは限りませんし、短期のRAしかないことも多々あります。セメスターごとに違うRAをして、その中から共通項を見出して博士論文の方向性を決めるという友人もいました。夏休みは企業にインターンに行く学生が多く、インターン先で自分の研究ができるケースは稀です。

ちなみにアメリカのインターンは日本のインターンと全然違い、ふつうに社員と同じように働き、給料ももらいます。自分の研究室ではシリコンバレーのテック企業でインターンする学生が多く、3ヶ月で1年間の博士課程の給料を上回る額をもらったりしていました。

博士の給与はアメリカどこでも手取り月収が約$2,000。自分の大学院は田舎だったので生活費が安く済んだんですが、Harvard、MIT、Colombia、Stanfordなど物価の高いところに行ってたら生活がカツカツだったことでしょう。お金の出どころですが、理工学系なら企業と共同研究をしたり、ファンドに申請したり、政府からお金をゲットしたりして研究をしてます。この辺りは教授のお仕事。

資金援助がもらえるかどうかは合格時に分かる

お金のことは一番気がかりだったので出願前に留学先の教授に確認しました。そのときのやりとりがこちら。「我々の大学院ではできるだけ多くの出願者に授業料免除とスタイペンド(=給料)をあげるようにしていて、合格通知と一緒にどれくらいの資金援助がもらえるか知らされます。資金援助は生活費をカバーするのに十分です。」とあります。

  • 自分の質問:
    I have to pay for my living wage and tuition fee by myself until I get Ph.D degree. I can’t rely on parents’ financial support. So I need enough scholarship, tuition waiver, and TA or RA assistantship. Is it possible such incomes cover my living wage and tuition fee until I get Ph.D degree? And can I know whether I get enough scholarship or not at the same time when I receive my admission result?
  • 留学先教授からの回答:
    Yes. We try to give financial support (tuition and stipend) to as many applicants as possible and you are notified of that at the same time you are notified of the admission decision. The tuition waiver and stipend (TA or RA position) are enough to cover your living expenses.

 

自分の場合、合格通知がまずemailで来て、その後admission letter, I-20, information packetの書類が郵送されてきました。admission letterにFinancial Aidの情報が書かれていました:

We are pleased to offer you a Graduate Assistantship that will pay your tuition $33,234 and a stipend of $17,500 for the academic year beginning 5 September 2011. This award will normally consist of a research assistantship, teaching assistantships, or a combination of these. You may also eligible for support during the summer from research and other assistantships. It is our expectation that you will fulfill your duties responsibly and make satisfactory progress towards your degree. Funding in future years will depend on your academic performance.

 

$17,500のスタイペンドが給料のことで、夏休みを除いた約9ヶ月の給料になります。日本のごく平凡な家庭に育ったので、自分も親もほんとに大学が高額な授業料を免除してくれて給料まで払ってくれるのか心配でした。笑

ということで、アメリカの博士課程では親に頼ることなく、アルバイトする必要もなく、経済的に自立した生活が可能です。

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